木造限界耐力計算プログラム

1. データ入力

2. 復元力X方向

3. 復元力Y方向

4. 計算結果・ログ

5. 交点詳細

1. 建物・地盤諸元

物件名

階数 (Stories)

地域係数 Z

1-2. 応答スペクトル (Sa)

応答スペクトル設定

加速度応答スペクトル Sa0(T)

● 損傷限界: 稀に発生する地震動

● 安全限界: 極めて稀に発生する地震動

※安全限界は損傷限界の5倍

Saスペクトルグラフ

1-3. 地盤種別 (Gsスペクトル設定)

地盤種別

Gsスペクトルグラフ

1-4. p, q 調整係数

p, q の考慮

p係数: 等価周期Teによる調整（地震応答の位相差考慮）

q係数: 等価質量比による調整（高次モード影響考慮）

p係数グラフ (Te-p)

2. 階データ (下階から入力)

※重量Wは、当該階の地震力を負担する重量（積載荷重含む、多雪区域等は適切に割増）を入力してください。

重量

1F 重量 W1 (kN)

2F 重量 W2 (kN)

階高

1F 階高 H1 (m)

2F 階高 H2 (m)

3. 判定基準 (層間変形角)

損傷限界 1/N

安全限界 1/N

復元力特性 X方向 (Q - δ)

※「自由入力 (下表)」および追加した「耐力壁」の合計耐力がグラフに表示され、計算に使用されます。

X方向 1階

(×0.91m)

▼ 自由入力

数量

X方向 2階

(×0.91m)

▼ 自由入力

数量

復元力特性 Y方向 (Q - δ)

Y方向の入力を行わない（X方向のみ計算）

※「自由入力 (下表)」および追加した「耐力壁」の合計耐力がグラフに表示され、計算に使用されます。

Y方向 1階

(×0.91m)

▼ 自由入力

数量

Y方向 2階

(×0.91m)

▼ 自由入力

数量

X方向: Q - 変形角関係

Y方向: Q - 変形角関係

計算書出力項目: 建物概要復元力特性判定結果計算ロジック詳細計算ログ交点詳細計算

詳細計算ログ

計算ロジック・詳細項目の解説

※本プログラムは「限界耐力計算（令第82条の6、平12建告1457号）」に基づき、木造建物の倒壊・損傷検証を行います。

1. 振動モデルの作成と固有値解析

\( m_i \) (各階質量)
\( m_i = \frac{W_i}{g} \)

各階重量 \( W_i \) (kN) を重力加速度 \( g \approx 9.807 \, \text{m/s}^2 \) で除して質量化します。

\( K_{i0} \) (初期剛性)
復元力特性の原点付近（弾性域）の勾配。

建物の本来の硬さを表します。初期剛性が高いほど \( T_0 \) が短くなり、減衰効果が高まります。

\( T_0 \) (第1次固有周期)
\( |K_0 - \omega^2 M| = 0 \Rightarrow T_0 = \frac{2\pi}{\omega} \)

初期剛性と質量を用いた固有値解析により算出します。この \( T_0 \) は減衰定数 \( h \) の算定基準となります。
1階建ての場合: \( T_0 = 2\pi \sqrt{m_1/K_1} \)

\( u_i \) (振動モード)
\( \frac{u_2}{u_1} = \frac{K_1 + K_2 - m_1 \omega^2}{K_2} \)

各ステップの剛性 \( K \) に応じて、建物がどのような形状で揺れるか（モード）を算出します。（1階建ての場合は省略）

2. 等価1自由度系への置換 (多質点 &to; 1質点)

\( M_e \) (有効質量)
\( M_e = \frac{(\sum m_i u_i)^2}{\sum m_i u_i^2} \)

建物全体の揺れに関与する質量成分。PDF資料では \( M_{us} \) と表記。

\( \Delta \) (等価変位)
\( \Delta = \frac{\sum m_i u_i^2}{\sum m_i u_i} \)

等価1自由度系の代表変位量。PDF資料では \( \delta_s \) と表記。

\( H_e \) (等価高さ)
\( H_e = \frac{\sum m_i u_i h_i}{\sum m_i u_i} \)

等価1自由度系の重心高さ。グラフのX軸（変形角相当 \( \Delta/H_e \)）等に使用します。

\( T_e \) (等価周期)
\( T_e = 2\pi \sqrt{\frac{M_e}{K_e}} = 2\pi \sqrt{\frac{M_e \cdot \Delta}{Q_a}} \)

損傷が進み剛性が低下すると、周期は \( T_0 \) から \( T_e \) へと長くなります。安全限界時は \( T_s \) と表記。

3. 減衰性能と要求スペクトル

\( W_A \) (ポテンシャルエネルギー)
\( W_A = \frac{1}{2} Q_1 \delta_1 + \frac{1}{2} Q_2 \delta_2 \)

各階の層せん断力と変位の積の1/2を合計した全体のポテンシャルエネルギー。

\( h_{eq1} \) (1階の等価減衰定数)
\( h_{eq1} = \frac{\delta_{z1} - Q_1/K_{10}}{\delta_{z1}} \times \frac{2}{4\pi} \)

\( Q_1/K_{10} \): 弾性変形量、\( \delta_{z1} - Q_1/K_{10} \): 塑性変形量
塑性変形の割合からエネルギー吸収能力を評価します（負値は0）。

\( h_{eq2} \) (2階の等価減衰定数)
\( h_{eq2} = \frac{\delta_2 - Q_2/K_{20}}{\delta_2} \times \frac{2}{4\pi} \)

\( \delta_2 = \delta_{z2} - \delta_{z1} \): 2階の層間変位
\( Q_2/K_{20} \): 弾性変形量、\( \delta_2 - Q_2/K_{20} \): 塑性変形量

\( \Delta W \) (履歴減衰エネルギー)
\( \Delta W = 4\pi (h_{eq1} \cdot W_1 + h_{eq2} \cdot W_2) \)

\( W_1 = \frac{1}{2} Q_1 \delta_1 \), \( W_2 = \frac{1}{2} Q_2 \delta_2 \): 各階のポテンシャルエネルギー

\( h \) (等価粘性減衰定数)
\( h = 0.05 + \frac{\Delta W}{4\pi \cdot W_A} \)

初期減衰0.05に履歴減衰を加算（上限0.25）。塑性変形が進むほど大きくなりエネルギー吸収能力が高まります。

\( F_h \) (減衰低減係数)
\( F_h = \frac{1.5}{1 + 10h} \)

減衰 \( h \) が大きいほど地震力を低減できます。
※安全限界（極稀地震）計算時に適用。損傷限界（稀地震）では原則 1.0 (h=0.05相当) とします。

\( Q_A \) (等価せん断力)
\( Q_A = \frac{2 W_A}{\Delta} \)

エネルギー等価の関係 \( W_A = \frac{1}{2} Q_A \cdot \Delta \) より逆算。グラフの保有耐力曲線として表示されます。

3-2. 複数耐力要素のheq合成（自由入力のheq直接入力対応）

heq直接入力がある場合

自由入力の復元力特性で「heqを入力する」にチェックを入れた場合、各変形角に対応するheq値を直接設定できます。
この場合、計算式による算出ではなく、入力されたheq値を補間して使用します。

heq直接入力がない場合
\( h_{eq,i} = 0.2 \times \left(1 - \sqrt{\frac{K_i}{K_{i0}}}\right) \)

\( K_{i0} \): 要素の初期剛性、\( K_i \): 現在の割線剛性
従来通り、剛性低下率から自動計算されます。

階全体のheq合成（加重平均）
\( h_{eq,階} = \frac{\sum (h_{eq,i} \times Q_i)}{\sum Q_i} \)

各耐力要素（壁・自由入力）のheqを、その要素のせん断力\( Q_i \)で重み付けして合成します。
heq直接入力がある要素と、自動計算の要素が混在する場合も、同じ式で合成されます。

混在時の計算例

例：壁A（自動計算 heq=0.05, Q=50kN）+ 自由入力B（直接入力 heq=0.10, Q=30kN）
\( h_{eq,階} = \frac{0.05 \times 50 + 0.10 \times 30}{50 + 30} = \frac{2.5 + 3.0}{80} = 0.069 \)

4. 要求せん断力と判定

\( Q_{req} \) (必要耐力)
\( Q_{req} = M_e \cdot S_A \)

グラフ上の「必要耐力曲線（点線）」のY座標。
保有耐力 \( Q_a \) と交差する点が応答値（\( P_{si} \approx Q_a \)）。

評点と判定
\( \text{評点} = Q_{si} / Q_{sni} \)

\( Q_{si} \): 安全限界耐力（荷重変形曲線の最大荷重点）
\( Q_{sni} \): 作用する地震力（\( Q_{si} \) 時の必要耐力）
※交点ではなく、最大耐力点における余裕度で判定します。
1.5以上：倒壊しない
1.0〜1.5：一応倒壊しない
0.7〜1.0：倒壊する可能性がある
0.7未満：倒壊する可能性が高い

5. 地域係数・p,q係数・地盤種別

\( Z \) (地域係数)
\( Z = 0.7 \sim 1.0 \)

地震地域係数。地域による地震の強さの違いを考慮する係数。
・1.0：大部分の地域（東京、大阪、名古屋等）
・0.9：北海道の一部、沖縄の一部等
・0.8：北海道の一部等
・0.7：沖縄の一部等
建築基準法施行令第88条に定められています。

地盤種別と特性周期 \( T_c \)

地盤種別により加速度応答スペクトルの形が変わります。
・第1種地盤（\( T_c = 0.4s \)）：岩盤、硬質砂礫層、第三紀層など良好な地盤
・第2種地盤（\( T_c = 0.6s \)）：通常の地盤（第1種・第3種以外）
・第3種地盤（\( T_c = 0.8s \)）：軟弱地盤、沿岸埋立地、涼沢低地等
\( T_c \) は地盤の卓越周期に対応し、\( T_c \) 付近で応答が最大となります。

\( G_s \) (地盤増幅率)

地表面での地震動の増幅率。地盤調査結果から決定します。
第1種地盤では \( G_s \approx 1.0 \sim 1.5 \)、第3種地盤では \( G_s \approx 1.5 \sim 2.5 \) 程度。
自由入力では周期ごとの \( G_s(T) \) スペクトルを指定可能です。

\( p, q \) (調整係数)

平成12年建告第1457号に基づく調整係数。
\( p \)：地震地域係数等に関する調整係数
・\( T \leq T_c \) のとき：\( p = 1.0 \)
・\( T > T_c \) のとき：\( p = T_c / T \) (長周期側で低減)
\( q \)：構造特性等に関する調整係数
・\( T \leq T_c \) のとき：\( q = T / T_c \) (短周期側で低減)
・\( T > T_c \) のとき：\( q = 1.0 \)
これらにより短周期・長周期の建物で応答を適切に評価できます。

5. 交点詳細計算

損傷限界・安全限界の交点における詳細な計算過程を表示します。計算実行後に更新されます。

計算を実行すると、ここに交点詳細が表示されます。

「4. 計算結果・ログ」タブで計算を実行してください。

構造計算書：木造限界耐力計算

1. 建物概要・諸元

地域係数 Z		地盤種別		p, q考慮
損傷限界		安全限界

階	階高H(m)	重量W(kN)	累計重量(kN)	初期剛性Ki(kN/m)

1-2. 地盤種別・Gsスペクトル

地盤種別
設定方法

Gsスペクトルグラフ

1-3. 応答スペクトル (Sa)

入力モード

加速度応答スペクトル Sa0(T)

岩盤上の加速度応答スペクトルを表します。

● 損傷限界: 稀に発生する地震動 (50年に1回程度)

● 安全限界: 極めて稀に発生する地震動 (500年に1回程度)

※安全限界は損傷限界の5倍

T(s)	Sa0(損傷)	Sa0(安全)

Saスペクトルグラフ

1-4. p, q 調整係数

p, q 考慮

木造限界耐力計算プログラム

1. 建物・地盤諸元

1-2. 応答スペクトル (Sa)

1-3. 地盤種別 (Gsスペクトル設定)

1-4. p, q 調整係数

2. 階データ (下階から入力)

重量

階高

3. 判定基準 (層間変形角)

復元力特性 X方向 (Q - δ)

復元力特性 Y方向 (Q - δ)

X方向: Q - 変形角関係

Y方向: Q - 変形角関係

詳細計算ログ

計算ロジック・詳細項目の解説

1. 振動モデルの作成と固有値解析

2. 等価1自由度系への置換 (多質点 &to; 1質点)

3. 減衰性能と要求スペクトル

3-2. 複数耐力要素のheq合成（自由入力のheq直接入力対応）

4. 要求せん断力と判定

5. 地域係数・p,q係数・地盤種別

5. 交点詳細計算

構造計算書：木造限界耐力計算

1. 建物概要・諸元

1-2. 地盤種別・Gsスペクトル

1-3. 応答スペクトル (Sa)

1-4. p, q 調整係数

2. 復元力特性：X方向

2. 復元力特性：Y方向

3. 判定結果サマリー：X方向

3. 判定結果サマリー：Y方向

4. 計算ロジック・詳細項目の解説

5. 詳細計算ログ：X方向 (1/2)

5. 詳細計算ログ：X方向 (2/2)

6. 詳細計算ログ：Y方向 (1/2)

6. 詳細計算ログ：Y方向 (2/2)

7. 交点詳細計算：X方向

7. 交点詳細計算：Y方向

木造限界耐力計算プログラム

1. 建物・地盤諸元

1-2. 応答スペクトル (Sa)

1-3. 地盤種別 (Gsスペクトル設定)

1-4. p, q 調整係数

2. 階データ (下階から入力)

重量

階高

3. 判定基準 (層間変形角)

復元力特性 X方向 (Q - δ)

復元力特性 Y方向 (Q - δ)

X方向: Q - 変形角関係

Y方向: Q - 変形角関係

詳細計算ログ

計算ロジック・詳細項目の解説

1. 振動モデルの作成と固有値解析

2. 等価1自由度系への置換 (多質点 &to; 1質点)

3. 減衰性能と要求スペクトル

3-2. 複数耐力要素のheq合成（自由入力のheq直接入力対応）

4. 要求せん断力と判定

5. 地域係数・p,q係数・地盤種別

5. 交点詳細計算

構造計算書：木造限界耐力計算

1. 建物概要・諸元

1-2. 地盤種別・Gsスペクトル

1-3. 応答スペクトル (Sa)

1-4. p, q 調整係数

2. 復元力特性：X方向

2. 復元力特性：Y方向

3. 判定結果サマリー：X方向

3. 判定結果サマリー：Y方向

4. 計算ロジック・詳細項目の解説

5. 詳細計算ログ：X方向 (1/2)

5. 詳細計算ログ：X方向 (2/2)

6. 詳細計算ログ：Y方向 (1/2)

6. 詳細計算ログ：Y方向 (2/2)

7. 交点詳細計算：X方向

7. 交点詳細計算：Y方向

Excel貼り付け:

Gsスペクトル入力

Saスペクトル入力